2月
1
2007

YMO、CM限りの再々結成。

Yellow Magic Orchestra2006年に、ヴォーカルに木村カエラを迎え、
サディスティック・ミカバンドを17年ぶりに再結成させて
話題を呼んだキリンビールのCMに、今度はあの
YMOが起用されるそうだ。CM限りの再結成ながらも、
「RYDEEN 79/07」と題された、名曲「RYDEEN」を
再録音したものが使用される。
 
1983年の「散開」後、1993年には「YMO」という名称が
商標登録されていて使えなかったため、「YMO」の
ロゴに×印をつけた「ノットYMO」として「再生」した。
その後、音楽的コラボレートは行っていたものの、
「YMO」という名前で3人が登場するのは14年ぶり。
 
 
≫KIRIN ラガービール


YMOのムーブメントやディスコグラフィ等は、ちょっとググれば
紹介しているページが多々あるため、そちらにお任せするとして、
今回は彼らの使用した「シンセサイザー」という楽器に、
焦点を置いてみたい。YMOと言えば、当時はまだ技術的に
未発達だったシンセサイザーという楽器をいち早く取り入れただけでなく、
アルバムを出す毎に使用される、新しい技術が導入された
シンセサイザー等の機材や、その使用法にも魅力がある。

初期のYMOは、Moog III-Cという大型モジュラシンセ(通称タンスと
呼ばれていた)をステージなどのバックに堆く積上げて演奏し、
その操作には「4人目のYMO」と言われる程の、専属の人材が必要だった。
「TECHNOPOLIS」という曲の冒頭で「TOKIO」と言っているロボットの
様な声は、マイクから入った声がキーボードの音源になる
ヴォコーダROLAND VP-330)と呼ばれる物が使われていた。
 

 
 
名機「Prophet-5」が登場した中期頃からは、この機種が多用され、
その他にも「Emulator」というサンプラーや、「LinnDrum」というリズム
ボックス、「MC-4」というシーケンサー等、続々と登場してくる
新しい機器を次々に取り入れ、魅力的なサウンドを作り出して行ったのだ。

このシンセサイザーという楽器は、昔から音楽等を演る人達等にとって
憧れや理想の楽器だったようで、この楽器が発明される遥か以前から、
現在のシンセサイザーの登場を予見させるような記述があった。
代表的なのが、1628年頃にフランシス・ベーコンによって著された
「ニューアトランティス」である。
 

音響研究所もあります。あらゆる音響とその発生方法を試験し実験するところです。
あなたがたのところにはない和音があり、四分の一音とそれ以下の運音などです。
あなたがたの知らないいろいろさまざまな楽器があり、あなたがたのところのものよりも
美しいものもあります。小さな音を大きく深いものにして出します
同様に大きな音を細く鋭くします。いろいろな震音やさえずりのような音を出します。
それは元の形では破れていないものでもあります。
 
あらゆる文節の音や文字の音や、また獣類や鳥類の声や調べを出したり
模倣したりします
。耳にあてると聴力を非常に増すような、ある補助器もあります。
いろいろ不思議な人工のこだまもありまして、声をいく度も反射し、
まるでそれを投げつけるようなものもあります。
また声をきた時よりも高くしてはねかえすものもあり、いっそう鋭くするものや、
いっそう深くするものなどがあります。
そうです、声を受けたのとは違う文字の音や文節音にしてかえすものもあります。

 
アンプ(小さな音を大きく深くする)やイコライザー(大きな音を小さく細かく)を
連想させるものの他、「あらゆる文節の~模倣したりします」は、シンセサイザーや
ヴォコーダ・イミュレーターを、「ふしぎな人工のこだま」はエコーやディレイを、
「声をきたときよりも高くはね返す」はハーモナイザーを連想させるもので、
日本でいえば江戸時代初期に当る頃に書かれた書物であることを思えば、
その想像力の逞しさに驚かされる。

イギリスの著名なSF作家であるアーサー・C・クラークの、1950年代の短編集
「白鹿亭綺譚(TALES FROM THE WHITE HART)」中にあるリー・パーヴィスという
男のホラ話「究極の旋律」には、ルードヴィッヒと名付けられた
作曲機(マイクロコンポーザ+コンピュータ)の記述がある。

その話では、音楽と脳波それぞれのリズムに関連性を見出した人物が、
「全ての現存するメロディは、一つの根本的なメロディーに近づこうとした
悪あがきの結果にすぎず、何世紀にもわたって作曲家達はその根本的な
メロディーを求めて手さぐりしてきたのだが、音楽と脳の関係を知らなかった為、
自分たちが何をしているのか気付かなかった」とし、両者の関係が解明された今、
究極の旋律を発見することも可能なはずだという根拠から、彼らが明らかにした
法則によって、音のパターンを自動的に作り上げる機械を作り上げる。

彼は更に、大雑把なやり方だけでやっている作曲家ですら、人々の頭と心を
何日も続けて支配できるメロディーを生み出せるのだから、この機械が生み出す
究極の旋律は、人間の記憶の回路で永遠に鳴り響きつづけ、その他の考えの
全てを抹殺し、最悪の場合、物理的な現れである脳波を壊してしまうと語る。

尤も、個々人の脳波は千差万別であり、人類全てに共感を与えるような音楽
というのは考え難く、実際コンピュータやシンセサイザーがある現代、
日本でも沢山のヒット曲をコンピュータに分析させ、新たにコンピュータ作曲の
「必ずヒットする曲」を合成する試みが行われた事があるらしいが、作られた曲は
どこかで聴いた曲のフレーズの寄せ集めに過ぎず、何の感情も湧かなかったとヵ。

閑話休題。シンセサイザーという楽器は高価な物だと考えている人も多いと思う。
確かにシンセサイザーという「楽器」を購入すれば、何十万という金額を
請求される事は間違いないのですが、実は今では、お手持ちの殆どのパソコンや
携帯電話の中にも、シンセサイザーが組み込まれている。初期のPCにわ、
PSG(Programmable Sound Generator)という音源が積まれていて、それは
まだ「いかにも機械!」って感じのピコピコ音がしてたんだけど(初期の
ファミコンの音を想像して貰えれば解ると思います)、FM音源が登場して
からは各社こぞってそれを採用し、今ではMIDIPCM音源が標準となった。

携帯電話が登場してからは、PCと同じ様な経緯で、端末の搭載音源が
グレードアップして行き、PC以上の速度であっという間にPC同等の
スペックの音源を搭載するようになってしまいました。

故に、お手持ちのパソコンが既に、ベーコンが言うところの自動作曲機
(マイクロコンポーザ+コンピュータ)になっていている訳ですd(゚∀゚*)ネッ
もしアナタが洗濯や炊事の最中にオリジナルの鼻歌を歌ったら、
今度からそれをPCに記録する事をオススメします。もしかすると、
それがヒットして、憧れの印税生活が待ってるかもしれませんよ?w
 
 

 


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